1) はじめに

今後の病院情報システムの構築の考え方として、従来の業務を単にシステム化するというだけでは十分ではありません。その病院の方針を踏まえた、新しい情報システムについてのコンセプトが先ず必要となります。各々の病院のあるべき姿を考え、医療サービスの向上、医療収益の向上、経営改善等の方向性を鑑みて、先ず病院のコンセプトを策定し、その上でシステムのコンセプトをうち立てる必要があります。
 それは、患者待ち時間対策に代表される「患者サービスの向上」や発生源入力を基本とする診療報酬の請求漏れ対策、これまでに現実的に考えられなかったカルテの電子化や画像システムによるフイルムレス・ペーパーレスの方向性、病院経営戦略や情報収集とその分析をはじめ、来院患者、地域顧客の利便性を徹底追及し、病診連携を含む患者囲い込みなどの新しい方法論の展開かもしれません。
 あくまでも、システム導入は、病院がそれらのことを実現する手段に過ぎないわけですので、先ず基本のコンセプトの策定から始める必要があります。その上で、市場占有率を考慮した競合他病院との差別化を図り、急激な技術革新による陳腐化を防ぎ、長期にわたり利用可能なシステムのというシステム導入の基本ラインを忘れてはいけません。

上記を達成するためには、まず当該病院での現状業務の分析を行うことが大切です。足もとを見ずに次の段階にいくことは危険です。同時に最近の医療動向を踏まえた新技術の検討、既存パッケージの調査などを行う必要があります。

また、現状業務を追認する形でコンピュータの導入を行うのか、新たな業務体系を構築し、その支援ツールとしてコンピュータの導入を行うのかで、その必要とする機能、システム構成は大きく変わってきます。コンピュータ導入は、病院業務そのものを大きく変えうる機会であるだけでなく、病院にとっては多額の投資を伴うだけに、導入にあたっては、病院業務全体を一度見直し、その上で理想の業務形態を模索し、それをコンピュータでどのようにサポートするのか等、全職員のコンセンサスを得られる方法を選択することがより重要であると確信いたします。


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